議会報告

◆4番(上田貢太郎君) 自由民主党の上田貢太郎でございます。
まず冒頭、質問に入ります前に、このたびのたび重なる豪雨災害、そして北海道胆振東部地震によりお亡くなりになりました方々に対しまして謹んで哀悼の意を表しますとともに、御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。また、被災された皆様に対しましても心よりお見舞いを申し上げます。政治に携わる者として、繰り返される災害に対する事前の備え、そして死者ゼロを目指す姿勢の必要性を、今改めて強く感じております。一日も早く日常の生活を取り戻していただきますことを願うところでございます。

それでは、質問に入ります。まずは、地震対策についてお聞きいたします。
9月6日3時8分、北海道胆振地方を震源とする最大震度7、平成30年北海道胆振東部地震が北海道を襲い、発生から間もなく道内全域は停電、道民や観光客は大きな不安の中、朝を迎えることとなりました。
我々産業振興土木委員会のメンバーも東北、北海道の視察のため、その日は函館のホテルに宿泊しておりました。現地も震度5弱から6弱という強烈な揺れで、私も飛び起きまして、これはまずいと、とりあえずテレビをつけようと思いましたが、ホテル内は既に停電。エレベーターもとまり、幸いトイレの水は出たのですが、結局どうすることもできないまま、一睡もできず朝を迎えることとなりました。委員会のその日の予定は青森入りでしたが、移動先の混乱も予想されますし、道内からの脱出もなかなか困難な状況のため、後の予定を中止し帰路に向かうことになりました。
我々は、議会の視察団であったこともあり、比較的スムーズに情報や旅行券の手配ができましたが、一般の観光客や出張族の方々はどうしたものかと心配しておりましたが、高知に戻ると、考えられないような話が知人からありました。といいますのも、札幌のある避難所が地域住民以外を閉め出していたという話です。連絡いただいた方は陸前高田市で市議会議員をしている方で、息子さんが札幌に所用で出かけていて、父親の指示で避難所に向かったところ、避難所は市民優先ですと避難を断られたそうです。加えて、ホテル、旅館からも敬遠され、夕方になり、食事はとれていないものの何とかホテルと水は確保できたようですが、国内有数の観光地がなぜと耳を疑いました。
あすは我が身の高知の避難所は、県としてどのような運営指導を行っているのかと不安になりました。本県も、観光県として旅行会社と連携したさまざまな旅行商品を企画、販売し、国内外の観光客を呼び込もうと計画しておりますが、観光客や出張族の災害対応はどのように行うつもりなのでしょうか。
今回の胆振東部地震は、大きいとはいえ揺れの被害だけでしたが、次の南海トラフ地震は津波も伴い、県下全域でライフラインは途絶すると考えていいと思います。
そこでまず、今回の北海道胆振東部地震について知事の御所見をお聞かせください。
そして、避難所開設については市町村が行うわけですが、避難所に地域住民以外の方が来たとき、どのような対応をとることになっているのか、また日本語のわからない外国人を受け入れる特別な避難所などは考えているのか、危機管理部長にお伺いいたします。
加えて、本県は東西も広く、県外、海外から来られた観光客などは広範囲に散らばっている可能性がありますが、その方々の脱出可能エリアまでの移送をどのように考えられているのか、また通信が途絶して情報入手が困難な中、こうした方々の脱出に関するサポートをどのように考えられているのか、危機管理部長にお伺いいたします。
次に、非浸水地域への事業所移転についてお伺いいたします。本県では、公益性の高い民間施設などに関しては、高台移転費用の補助などを含むさまざまな施策が打ち出されておりますが、一般民間企業に対してはそうした助成制度はなく、個社、個人による自力での地震・津波対策しかありません。
また、土佐湾沿岸部や浦戸湾・浦ノ内湾沿岸部には、水産品加工や海洋輸送による資源加工会社、燃油などの基地が多数存在します。さきに発表された土木学会の南海トラフ地震の被害予測では、全国の被害予測は1,400兆円と試算されており、高知県についてはGDP、県民経済試算が70%減という壊滅的な状況に陥る可能性が予測されております。ここに至り、高知県の経済を支える製造業や事業所に対する措置も重要であると考えます。
本県でも、企業の津波浸水地域から非浸水地域への移転について、潜在的な要望が非常に多いと聞いております。さきに、県と高知市との共同で高知中央産業団地が整備されましたが、供給ベースではまだまだ追いついていないのが現状ではないでしょうか。
今、民間業者がそうした声を受け、移転先用地の確保に動いておりますが、多くの場合は、用地として十分な広さは確保できそうでも、開発許可や農地転用に伴う規制で許可に至らないと聞いております。もちろん、国土、農地の開発ですから、乱開発、スプロールを防ぐためのルールに従う必要は十分承知しておりますが、事業継続計画、BCPに伴う高台移転用地開発に限って緩和することはできないものでしょうか。
大手企業との取引のある本県事業所では、災害時においても、取り扱う商材の供給を滞りなく行う必要に迫られています。また、一定期間内にそうした対策がとれなければ、取引の打ち切りを示唆する企業も少なくありません。県民の雇用を担う事業所の多くは小規模事業所で、事業所の移転は困難でも、せめて物流拠点や工場ぐらいは高台や津波の影響を受けないエリアに移しておきたいと願っております。また、中堅企業では、取引先の要望を受けて高台移転先を求め、なければ県外などに支店を移したり分社化してリスク分散を行うことも視野に入れての検討を始めた企業もあると聞いております。そうなると、少なからず高知経済に影響があるのではと考えます。
そこで、こうした事業所移転に対する市街化調整区域や農地の規制緩和について土木部長と農業振興部長にそれぞれお伺いいたします。
また、津波浸水地域から非浸水地域への移転を望む企業数やその企業が希望する面積と価格を県は把握できているのか、またそうした企業がどの市町村付近を望んでいるのか、商工労働部長にお伺いいたします。
続きまして、南国市の市街化調整区域における宅地開発についてお伺いいたします。先ほどの質問にも関連しますが、宅地開発に関しても、南国市の一部地域で企業の高台移転地と同様の扱いを受けているとの話が私のところに持ち込まれました。県としては、開発の許可に関しては国の施策、コンパクトシティー化を念頭に検討しているようですが、中心市街地に近い宅地は農地と比較すると高額であり、県民所得から鑑みますと農地のほうに目が行きがちではないかと思われます。
また、本案件は、さきの2月議会で坂本議員、久保議員からの開発許可に関する質問、特に坂本議員からの質問に対する知事の答弁では、平成26年から津波浸水予測区域からの転居に伴う住宅の建築や空き家の賃貸を可能としましたとの発言がございましたが、問題の宅地開発は非浸水エリアの既存集落に近いエリアであり、津波浸水予測区域からの転居地には最適な場所だと考えます。加えて、既存集落の維持という観点でも、県の考える規制緩和での整合性は満たしているように考えます。周辺には内科、歯科のクリニックもあり、教育環境としては小学校、職場としては大型企業エリアもあり、そこに勤める職員としては通勤の利便性からも好ましい転居エリアではないかと思いますし、人が集まれば店舗などの出店も期待でき、既存集落の活性化にも結びつくと考えております。
そこで、既存集落の高齢化や若者流出による急激な過疎化を防ぐためには、あらゆる対策を講じる必要があると考えますが、乱開発とは考えにくい今回の宅地開発について土木部長の御所見をお聞かせください。

次に、フィルムコミッションについてお伺いいたします。
私は、かねてより映像コンテンツをインバウンドに結びつけるべく、さまざまな提案をさせていただきましたが、いよいよ本年12月19日からLCCのジェットスター・ジャパンによる高知-成田・高知-関西線が就航いたします。この2路線の就航により、海外と本県を結ぶ交通環境は大きく前進するものと期待しており、知事も無限大の可能性があると述べられております。こうした動きを生かし、県全体として高知の魅力をさらに世界へ広げるためには、ドラマ、映画、アニメといった映像のコンテンツの力が欠かせないと考えております。
例を挙げますと、観光先進県の沖縄県では、沖縄フィルムオフィスがロケ誘致を進め、2017年シンガポールと沖縄フィルムオフィスが共同制作しました映画「ジーマーミ豆腐」がシンガポールで大ヒットとなり、ジェットスターのシンガポール-沖縄線の就航を大きく後押ししたと聞いております。
また、佐賀県でも、佐賀フィルムコミッションがロケ誘致をした映画「タイムライン」が2014年にタイで公開されると、2016年の佐賀県でのタイ人宿泊客は、公開前の2013年と比べ15倍超の5,830人まで拡大されております。佐賀県の取り組みもこれにとどまらず、現在ではフィリピンに対して誘致活動を展開しており、アジア圏に対して佐賀の魅力を発信し続けております。
本県では、既に皆さん御承知のとおり、2015年に映画「あらうんど四万十」が国内で全国公開、海外では台湾やメキシコで配給され、エバー航空国際線でも機内上映されており、これに続き、映画「サムライせんせい」が平成の薩長土肥4県での先行上映に続きこの秋より全国公開、また海外配給も商談が進んでおり、拡大展開が期待できそうだと伺っております。
皆様御存じのように、現在ではスマートフォンの普及により、映像コンテンツの出口はスクリーンやテレビ、DVDにとどまらず、アマゾンプライム、フールー、ネットフリックスに代表されますビデオオンデマンドのシェアが急激に拡大しております。アマゾンプライムの日本での会員数は800万人を超えていると推測されており、ネットフリックスはディズニーを株価で超え、世界最大のエンターテインメント企業となりました。
「あらうんど四万十」はアマゾンプライムのプログラムとなっておりますし、本県四万十市出身の漫画家安倍夜郎さんが原作の漫画「深夜食堂」はドラマ・映画化され、ドラマ最新シリーズは現在ネットフリックスで世界190カ国に配信されており、韓国、中国ではリメイク版も制作され大変な人気となっております。このような状況を考えますと、今後の海外からの誘客を考えたとき、映像コンテンツの持つ情報発信力は決して小さくないと考えます。
また、本県が取り組んだ2013年の「楽しまんと!はた博」、そこから始まった四万十映画祭は、3回目にもかかわらず、業界では夕張国際ファンタスティック映画祭と肩を並べる存在と評価されており、ジェトロ、日本貿易振興機構がバックアップする唯一の地方映画祭と伺っております。昨年度末に行われました第3回目では初めてコンペ部門が設けられ、受賞作品を海外に送り出す登竜門の役割をしております。高知ロケではない作品、高知の企業がかかわっていない作品、そんな作品でも、すばらしい日本の作品を本県から海外に送り出すという四万十映画祭のスタイルは、まさしく幕末維新のころ、我々の先輩たちが脱藩してまでも世界に対する日本の将来を見据えて行った行動そのもので、高知じゃなければあり得なかった映画祭だと思います。
先ほど少し触れましたが、四万十映画祭で公開された「センターライン」という作品は、この映画祭において観客賞を受賞し、中国と配給契約が結ばれて既に結果も出ておりますし、国内の若手監督からは、日本で一番配給に近い映画祭として、作品を出品したい映画祭とも言われております。
このように、本県には、交通インフラの拡充、本県の魅力を伝える映像コンテンツの存在、ハード面とソフト面ともに世界につながるコンテンツの利用方法の基礎もできました。2020年東京オリンピック後を見据えた取り組みとして、今こそ力を注ぐべきときではないでしょうか。
人口減少先進県の本県では、交流人口の拡大が今後の県政の大きな柱の一つであることは間違いありません。先人が育んできた本県の文化、歴史、自然、食は、海外の方々にも自信を持って喜んでいただけるものです。今まで行ってきた数々の事業の積み上げをさらに飛躍させるためにも、観光、文化、産業、教育など関連部署で情報共有を行いながら、本県の魅力を発信し続けていくことが重要と考えられます。
そこで、映画やドラマのロケの誘致活動を行うフィルムコミッション活動を強化することが重要であると考えますが、これまでに御提案させていただいた官民が協力した受け入れ体制づくりの進捗も踏まえ、観光振興部長の御所見をお伺いいたします。

続きまして、空港施設の機能強化についてお尋ねいたします。
このたびのジェットスター・ジャパンによるLCC就航を受けて、高知龍馬空港のさらなる活性化が求められており、こうした中、ことしの5月に、副知事がトップとなり、国土交通省や高知空港ビル、南国市、航空会社、有識者などの関係者で構成する高知龍馬空港・航空ネットワーク成長戦略検討会議が立ち上がっています。この検討会議は、高知龍馬空港の航空ネットワークの持続的な発展を目的として立ち上げられ、国内線と国際線の路線誘致や既存路線の拡充などについて戦略を立てて取り組んでいくこととされています。
5月と8月に検討会議が開催され、保安検査場や搭乗待合室の混雑の緩和や、国際チャーター便が来たときの税関、出入国、検疫の検査スペースの確保、航空機に旅客を誘導するボーディングブリッジ、搭乗橋の整備といった空港施設の機能強化の必要性が話し合われ、新ターミナルビルの建設といったことも検討すべきではないかとの意見があったとお聞きしています。
そこで、今回のLCCの就航決定や将来の国際線誘致を見据えた場合、空港のキャパシティーの拡充は喫緊の課題ではないかと考えますが、空港施設の機能強化に向けて、高知龍馬空港・航空ネットワーク成長戦略検討会議の今後の取り組み内容について副知事にお伺いいたします。

次に、自然・体験型ツアーについてお尋ねいたします。
皆様、アドベンチャーツーリズムという言葉を御存じでしょうか。本県も、来年から自然・体験型の観光キャンペーンを展開する予定ですが、このアドベンチャーツーリズムとはニュージーランドで発祥した体験型観光ツアーで、主に欧米の富裕層をターゲットに、市場規模が30兆円とも言われております。
この体験型観光ツアーは、通常の観光ツアーの約2倍の消費が見込めると言われておりまして、国内では既に北海道において、旅行会社、銀行、各種団体などが出資して、出資総額4億円の阿寒アドベンチャーツーリズム株式会社も設立されております。同社は、今回の北海道における地震により大変御苦労されているとお聞きしておりますが、現在取り組もうとしている事業には、国立公園内の夜の森を舞台にした、アイヌ民族の文化、神話をモチーフに阿寒の自然や動植物との共生の世界を演出する体感型デジタルアートの展開や、阿寒の豊富な観光資源、自然、アクティビティー、アイヌ文化を生かしたアドベンチャーツーリズムを展開し、国策である国立公園満喫プロジェクトと絡めて、稼げる地域を目指すようです。
12空港を有する北海道には及ばないまでも、本県にもさまざまな自然資源は豊富で、河川では四万十、仁淀、物部と徳島に流れる吉野の4河川があり、東西に室戸、足摺の両岬、中央には桂浜、中山間地域には急峻な四国山脈の地形から成る多数の渓谷がございます。
ただ、専門家の指摘する、高知は二次交通に問題があることをどのように解消するか。逆に言えば、この二次交通に難があることを生かし、アドベンチャーに結びつければ、例えば高知龍馬空港におり立ち、高知新港からトローリングで大物を狙いながら西南地域へ移動、翌日は徒歩で四万十源流を目指し、その後、カルスト台地から仁淀川方面に下りカヌーで河口を目指す。さらに、高知市からロードバイクで室戸ジオパークを目指すなども、大人の夏休みにはぴったりのアドベンチャーツーリズムではないでしょうか。
また、宿泊地では、地元ならではの食や神楽などの古典文化に触れる機会も企画し、交流の創造によるさまざまな人流、物流、商流を生み出すきっかけになるのではと考えます。
こうしたツアー参加者の中には、本県の魅力にひかれ、移住を考える方も出てくるのではと考えます。
このような民間のノウハウを活用したアドベンチャーツーリズムの推進は有効であると考えますが、観光振興部長の御所見をお聞かせください。

次に、ナイトタイムエコノミーについてお伺いをいたします。
年々増加し続ける訪日外国人旅行者数。日本政府観光局によると、2017年10月の訪日外国人旅行者数は、前年同月比21.5%増の259万5,000人となり、10月としては過去最高を更新しました。本県におきましても、一昨年あたりからクルーズ客船の入港数が増加し、2016年の25隻から2017年は43隻と、7割強もの伸びを見せており、12月からLCCの就航で、そうしたクルーズ観光客のリピートも見込めるのではないかと考えます。
そうした外国人に外貨を落としてもらう新たな考え方に、夜遊び経済、ナイトタイムエコノミーというものがあります。外国人旅行者を対象にした調査によると、夜の時間帯に楽しめるエンターテインメントやショッピングスポットが充実している欧米や東南アジアの国と比較して、日本では余りナイトライフが楽しめなかったという結果が出ております。本県も同様で、外国人観光客が買い物や観光をする姿は見かけますが、夜の繁華街ではその姿を見かけることはありません。
また、ナイトタイムエコノミーには、宿泊施設はもちろん商店街や繁華街の他店間の協力が不可欠で、例えば多言語での相互のショップ紹介カードや割引チケットつきの地域通貨などもおもしろいと考えます。
加えて、インバウンド観光客の入れ込みにはSNSによる情報発信が不可欠で、特にアジア圏の観光客の多くがいわゆるインスタ映えするスポットや食べ物を求めており、それを表現するスマホというハンディーコンピューターで、手のひらから世界に情報発信しています。
そこで、海外で人気があり、SNSでの発信力のある方を定期的に高知に招待して、現地の言葉で高知のよさをアピールしてもらえれば、インバウンド効果としては大きな期待が持てると考えますが、こうした方々の招聘について観光振興部長の御所見をお聞かせください。
また、ナイトタイムエコノミーは、高知市中心商店街活性化の視点からも必要ではと考えます。外国人が大好きな温泉。私も市議会議員時代に2回ほど温泉開発の質問をいたしましたが、先日の高知新聞でもはりまや橋温泉の記事が出ておりました。
記事の冒頭に、高知市中心商店街の事情を西高東低とあらわしておりましたが、はりまや橋公園周辺のにぎわい創出も今後の大きな課題ではと、私も以前から感じておりました。といいますのも、例えばはりまや橋公園に面した店舗の多くが公園に背を向けている点です。もともと、はりまや橋商店街の店舗ができてから後になってはりまや橋公園が整備されたため、仕方がないことではありますが、美観地区ということもありますし、せっかくはりまや橋に観光客が訪れても、すぐそばの公園から店舗やビルの背中を眺めながらでは、少し残念に思います。加えて、公園から階段をおりたところにあるはりまや橋の地下広場についても、昔と違って明るくなったとはいえ、まだまだ観光地としての活用方法があるのではないでしょうか。
そこで、はりまや橋公園の地下広場をアート作品やしゃれたカフェ、スイーツを販売するバル広場に変えて、地上の公園には小さなワゴンショップを配置し、おいしい食べ物と心地よい音楽を楽しめる仮称はりまやバルとしてリニューアルし、高知市中心商店街の東の名所にしてはと考えます。さらに、年末に行われている中央公園のイルミネーションをはりまや橋公園の東隅まで延長し、また夏には水面に灯籠などを浮かべ、光の名所にすればと考えております。
そこで、はりまや橋公園周辺のにぎわいを創出することにより、高知市中心商店街全体の活性化につながるものと考えますが、商工労働部長の御所見をお聞かせください。

最後に、大学生による観光まちづくりコンテストについてお伺いいたします。
観光開発には若い感性も必要ではないでしょうか。これは、国交省を初め、観光庁、文部科学省、総務省、経済産業省など5省庁が後援し、既に11の実践事例も立ち上がっている、大学生による観光資源開発のコンテストでございます。2011年は、対象地域を箱根・湯河原・熱海・あしがら観光圏とし、箱根町、熱海市、大井町、小田原市など11市町の観光資源を発掘し、観光まちづくりプランを考えるものであり、毎年開催されております。第1回は12大学、40チーム、大学生167人でしたが、今は100校に届く勢いで参加学生数も1,200人超えと、大きな広がりを見せています。8回目を迎えることしは、2017年の北陸、多摩川に、新設の茨城・長崎国境離島ステージを加え、いずれの地域にもエントリーすることを可能としました。
これまでの開催地を見てみますと、残念なことに四国はまだ開催地の名乗りを上げていないようですが、全国、いや世界に広がりを見せるよさこいの聖地土佐の高知が、そろそろ開催ステージに名乗りを上げてもいいのではないでしょうか。開催には若干の費用を要するようですが、若い感性で資源開発が実現すれば、そんな費用はあっという間に取り戻せるのではと考えます。
そこで、高知を開催地のステージとしてエントリーすることも含めて、こうした大学生などの若い知恵や感性を生かす観光地づくりについて観光振興部長の御所見をお聞かせいただきまして、第1問とさせていただきます。
(知事尾崎正直君登壇)

 
 

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◎知事(尾崎正直君) 上田議員の御質問にお答えをいたします。
北海道胆振東部地震の所見についてお尋ねがありました。
今月6日に発生した北海道胆振東部地震では、道内で初めて震度7が観測をされ、大規模な土砂崩れや家具の転倒などにより41名もの方がお亡くなりになられましたほか、700名近い方が負傷されるなど、大変大きな被害が発生をいたしました。お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。また、被災されました皆様に対しまして心からお見舞いを申し上げる次第であります。
この地震では、最大震度7という極めて大きな揺れによりまして、震源に近い厚真町北部では大規模な土砂崩れが発生しましたほか、大きな揺れがなかった地域も含めて道内全域で停電が発生し、経済活動の停止や交通機関の麻痺などが発生をいたしました。
今回、土砂崩れが起きた地域は、火山灰や軽石などが堆積した地すべりを起こしやすい地盤であったと報道されておりまして、本県とは地質が異なりますけれども、揺れによる土砂崩れは本県においても発生すると考えておりまして、今回の地震で土砂崩れの危険性を改めて認識したところであります。
土砂災害の対策につきましては、現在県民の皆様にさまざまな注意喚起を行い、災害の危険性がある地域の調査を進めておりますほか、特に危険性の高い区域内の建物には、外壁補強や安全な土地への移転費用に対する支援制度を設けるなどの取り組みを行っておりますけれども、今後はこうした取り組みを、今回の地震の教訓を生かしてさらに一層強化していかなければならないと考えております。
また、今回の地震で、社会生活や経済活動に欠かすことのできない電気の広範囲にわたる停止が地域社会に与える影響の大きさを目の当たりにし、ライフラインの大切さについて改めて認識をしたところであります。
こうしたライフラインについては、昨年度電気、水道、ガス、通信などのライフライン事業者を構成メンバーとする協議会を立ち上げ、各事業ごとの復旧目標を設定しましたほか、優先的に復旧すべき施設の共有、復旧工事に係る許認可手続の簡素化、資機材置き場の確保対策などの検討を進めているところでございます。
さらに、お話のありました観光客や外国人など地域外の方々への対応については、地元の自治体などと連携し、今後避難所での受け入れ体制の整備を進めるとともに、必要とする情報やその提供方法の検討を進めていく必要があると考えております。
いずれにしましても、今回の地震により明らかになりました知見につきましては、現在策定中であります第4期南海トラフ地震対策行動計画に反映していきたいと、そのように考えております。そうすることを通じて、南海トラフ地震対策のさらなる充実強化を図っていきたいと、そのように考えておるところでございます。
私からは以上でございます。
(危機管理部長酒井浩一君登壇)
◎危機管理部長(酒井浩一君) まず、避難所に地域住民以外の方が来たとき、どのような対応をとるのか、また日本語のわからない外国人を受け入れる特別な避難所などは考えているのかとお尋ねがありました。
南海トラフ地震など大規模な災害が発生した場合、県内の他の市町村から仕事や買い物などで訪れた方や国内外から観光で訪れた方など、地域の住民以外の方々が帰宅困難者となるため、可能な限り避難所で受け入れる必要があると考えています。
県が作成した避難所運営マニュアルの手引では、避難者名簿に、避難者、在宅避難者に加えて帰宅困難者の欄を設けるなど、地域の住民以外の方々が避難所に来ることも想定した構成としており、既にこの手引に基づいて、こうした方々のためのスペースをあらかじめ設ける方向でマニュアルの検討を進めているところもあります。
また、日本語が通じない外国の方につきましても、健常者であれば特別な避難所ではなく、一般の避難所に避難していただくことになります。このため手引では、支援の必要な要配慮者の例として外国人を挙げ、多言語による情報提供が必要となることや宗教や生活習慣などに対する被災者への配慮が必要であることに加え、通訳として支援する災害時語学サポーターの派遣が可能であることも明記しております。
今後、県としましては、特に観光客や出張で訪れる方々の多い市町村の避難所での運営マニュアルについて、こうした内容を盛り込んでいただくよう市町村を支援してまいります。
次に、県外、海外から来られた観光客などの脱出可能エリアまでの移送をどのように考えているのか、また通信が途絶して情報入手が困難な中、こうした方々の脱出に関するサポートをどのように考えているのかとのお尋ねがありました。
本県を観光や出張で訪れた際に被災し、帰宅が困難になった方々については、早期に帰宅できるよう支援することは必要であると考えています。
さきの東日本大震災では、宮城県の松島町が町内の旅館組合と連携して帰宅困難となった観光客の情報収集に当たり、発災3日後の3月14日には仙台市から東京方面に向かう鉄道ルートが確保されたことから、観光客を町やホテルがバスで仙台市まで搬送したとのことです。
南海トラフ地震発生時においては、県内各地で被害が発生し、公共交通機関の復旧にも時間を要することが想定されることから、松島町での対応のように県や市町村がバスなどを調達し、観光客などを、公共交通機関が復旧している瀬戸内側の主要都市まで搬送することも検討しておく必要があると考えております。
また、通信が途絶して情報収集が困難な地域でのサポートにつきましては、テレビやラジオなどのマスメディアを通じた情報提供のほか、ホテルや駅での情報提供など、あらゆる手段を通じて、県外、海外から来られた方に必要な情報を提供することが重要であると考えております。
こうした県外、海外からの訪問者の早期帰宅対策につきましては、今後具体的な支援方法や県と市町村の役割分担などを検討していく必要があると考えております。
(土木部長村田重雄君登壇)

 
 
◎土木部長(村田重雄君) まず、津波浸水地域から非浸水地域への事業所移転に対する市街化調整区域の規制緩和についてお尋ねがありました。
市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域であり、計画的に市街化を図る市街化区域との区域区分、すなわち線引き制度を担保するため、建物の建築の規制など土地利用に一定のルールを定めております。
一方、産業振興を後押しするため、国や高知広域都市計画区域を構成する高知市、南国市、香美市、いの町と協議、調整を行い、平成28年から高規格道路のインターチェンジ周辺において、事業所の立地が可能となる規制緩和を行いました。
このため、事業所が非浸水地域へ移転を希望する場合には、市街化区域やインターチェンジ周辺などで立地を検討いただくことで、無秩序に市街地を拡大させることのない計画的なまちづくりが図られると考えております。
次に、南国市の市街化調整区域における宅地開発についてお尋ねがありました。
市街化調整区域は市街化を抑制する区域ですので、基本的には宅地開発ができない区域となります。一方で、市街化調整区域であっても、地区計画を定めれば宅地開発が可能となります。この地区計画は、国の定める都市計画運用指針において、市街化を抑制すべき区域であるという市街化調整区域の性格を変えない範囲で定めるものと規定されております。
南国市が宅地開発のためにこの地区計画制度を活用する場合には、都市計画運用指針の趣旨を踏まえ、都市計画マスタープランの位置づけはもとより、空き地、空き家の状況や人口動態など長期的視点に立った都市構造の分析を行うとともに、南国市が進めるコンパクトなまちづくりや周辺市町とのバランスを重視し、宅地開発の必要性について慎重に検討いただきたいと考えております。
(農業振興部長笹岡貴文君登壇)

 
 
◎農業振興部長(笹岡貴文君) 津波浸水地域から非浸水地域への事業所移転に対する農地の規制緩和についてお尋ねがございました。
国内の農業生産の基盤である農地につきましては、国民のための限られた資源であり、かつ地域における貴重な資源であることから、農地法において農地を農地以外に転用することが規制されています。
一方、南海トラフに係る地震防災対策の推進に関する特別措置法では、地方公共団体が住居の集団移転を図るため津波避難対策緊急事業計画に基づいて住宅団地を整備する事業については、農地転用の許可要件の緩和についての特例が設けられているところです。
土地は、地域の諸条件に応じて適正に利用されることが必要であることから、農地法においては、農地転用を一律に規制するのではなく、農業振興地域内の農用地や甲種農地、第1種農地といった優良農地については転用を原則不許可としている一方、第2種農地や第3種農地といった農業上の利用に支障が少ない農地については、必要な要件を満たした場合には転用許可できることとなっており、事業所の移転を目的とする転用も可能となっております。
県としましては、事業所の移転に係る農地転用につきまして現行の制度において可能な範囲で柔軟に対応するとともに、引き続き食料生産の重要な基盤である優良農地の確保と、農業上の利用に支障が少ない農地の転用との調整を図りながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
(商工労働部長近藤雅宏君登壇)

 
 
◎商工労働部長(近藤雅宏君) まず、津波浸水地域から非浸水地域への移転を望む企業数や希望する面積、価格等を把握しているのか、またどの市町村付近を望んでいるのかとのお尋ねがございました。
東日本大震災の発生や、南海トラフ地震による津波浸水予測を公表いたしました平成24年12月以降、製造業や運送業など県内企業の皆様からさまざまな機会を通じて、BCPに伴う高台移転に関するお声をいただいております。
県では、平成26年度から隔年で、団地開発に係るニーズを把握するため、県内の製造業を対象にBCPも含めた移転等に関する意向調査を実施してきております。今年度も525社を対象に実施をいたしました結果、工場等の増設や移転を計画または検討している企業は34社で、希望する総面積は約20ヘクタールございました。また、その理由としましては、複数回答可としておりますが、事業の拡大のためが25社、次いでBCPに関するものが10社でございました。
このBCPに関する移転のうち、それぞれの企業が希望する面積は0.1ヘクタールから最大で8ヘクタール、希望する価格は1平方メートル当たり1万円から3万円となっております。移転場所につきましては、高知市や南国市を中心に、9割の企業が現在の市町村内での移転を希望されているということになっております。
また、共同で団地開発を進めております高知市や南国市におきまして、市が把握しておりますところでは、運送業や卸売業等の製造業以外の業種で、両市の合計で約18ヘクタールのニーズがあるとお聞きをしております。
県では、現在非浸水地域において安全・安心な工業団地の開発を進めており、南国市と共同で日章地区に約12ヘクタール、また高知市と共同で高知中央産業団地の東隣の布師田地区に約7ヘクタールの団地の整備を進めているところでありますが、津波浸水地域からの移転のみならず、その他の企業の新設、増設、あるいは県外からの企業誘致を鑑みますと、受け皿の確保は十分ではないと考えております。
このため、日章と布師田の両団地の早期完成に全力で取り組んでまいりますとともに、今後の団地整備につきましては、県内企業の具体の増設や移転等の計画、意向を十分にお聞きしながら、市町村ともしっかり連携して対応してまいりたいと考えています。
次に、はりまや橋公園周辺のにぎわいを創出することにより、高知市中心商店街全体の活性化につながるのではないかとのお尋ねがございました。
高知市が策定をしています第2期中心市街地活性化基本計画では、歩行者通行量について、中心部では西側エリアが増加したのに対し東側エリアでは減少しているとの現状認識のもと、魅力ある機能をエリア全体に展開し、人々の回遊を活発にして中心市街地での滞留を促進させるとの基本方針を掲げて、各種施策を展開していくこととされています。県としましても、東側エリアを活性化していくことは大変重要であると認識をしております。
現在、中心市街地活性化基本計画の中に位置づけられた事業としまして、例えば京町・新京橋商店街では、新たな商業者を育成し商店街の空き店舗への出店を促進する京町チャレンジショップ事業や、障害のある方や高齢の方が安心して買い物をしていただけるようサポート活動を行うタウンモビリティ事業などを実施しています。
議員のお話にありましたはりまや橋公園の活用につきましては、都市公園法や公園の構造上から一定の制約があると管理者である高知市からお聞きをしておりますが、年末から行われる中央公園や京町・新京橋商店街でのイルミネーション事業につきましては、これまでに規模を拡大する際に県と市とで支援をしてきたところであり、はりまや橋公園の一部も活用されています。
今後のさらなる拡大につきましては、設置や維持に相当の費用がかかるということもありますので、商店街振興組合や高知市の意向を十分に確認してまいりたいと考えております。
加えまして、中心商店街全体への回遊性の向上を図りますため、本年度からは国内外からの観光客や地元住民に対しまして新たにICTを活用した商店街の情報発信を行ったり、キャッシュレス機能の導入によりインバウンドの需要喚起につなげる取り組みなどについて、商店街振興組合と協議を重ねているところでございます。
今後とも、高知市や商店街振興組合とともに、官民一体となって中心商店街全体の活性化を図ってまいります。
(観光振興部長吉村大君登壇)

 
◎観光振興部長(吉村大君) まず、フィルムコミッション活動を強化するための官民が協力した受け入れ体制づくりについてお尋ねがありました。
映画やドラマの誘致は、国内外に向けた本県のPR効果はもとより、ロケ地めぐりなどの観光誘客や大規模な撮影の際の宿泊などを中心に、さまざまな経済効果を生み出す可能性があると考えています。こうしたことから、民間の方々との協力によって本県のフィルムコミッション活動が強化できますことは、大変心強いことだと考えています。
フィルムコミッション活動の強化に向けては、県内の民間の方々が、映画などの制作をサポートする組織の立ち上げを目指されており、県としましてもこれまでに関係者の方々と意見交換を行ってまいりました。
この意見交換において、関係者の方からは、誘致の際のロケ地情報のデータベース化を初め、撮影に関する地元との調整などにノウハウを持つスタッフの確保や、編集機材と移動車両の準備などに取り組むことで、効果的なフィルムコミッション活動が可能になるとのアイデアをいただいています。こうしたアイデアを受けて、県からは、お互いの役割と責任の分担や民間組織の活動に必要な資金の調達方法など、具体的な仕組みの検討を重ねていく必要があることをお伝えしています。
今後とも、受け入れ体制づくりに向けた協議を継続しまして、官と民との協力のもとでのフィルムコミッション活動の強化につなげていきたいと考えています。
次に、民間のノウハウを活用したアドベンチャーツーリズムの推進についてお尋ねがありました。
アドベンチャーツーリズムは、その旅行形態を提唱する団体において、自然、アクティビティー、異文化体験の3つの要素で構成する旅行と定めております。
お話のありました北海道での取り組みは、民間事業者を中心に、例えば自然と共生するアイヌ文化を体感といったストーリーで、湖に生息するマリモの観察やアイヌ民族に伝わる竹製の楽器製作、地域食材を活用した湖畔でのグランピングといったアドベンチャーツーリズムの3つの要素に、宿泊や物産などを組み合わせた、滞在型の旅行商品の造成、販売により、観光誘客を図るものです。
こうした取り組みは、本県が自然・体験型キャンペーンにおいて進める、民間のノウハウを取り入れながら自然景観や体験型の観光資源の魅力を高め、それらを中心に食や歴史、町並み、風土、文化を組み合わせた観光クラスターの形成に重なるものと考えております。
本県にはアドベンチャーツーリズムの構成要素となる多様な自然やそれらを生かしたアクティビティー、生活や文化に触れる体験といった観光資源が、とりわけ中山間地域に豊富に存在しており、アドベンチャーツーリズムの考え方を観光クラスターに取り入れて推進することは有効であると考えています。
そのため、アドベンチャーツーリズムに精通した専門家や提唱団体を初め、幅広い民間事業者の参画も得ながら、このツーリズムにふさわしい観光資源を磨き上げ、高知ならではのストーリーでつなぐ観光クラスターの形成を進めてまいりたいと考えています。
次に、海外で人気がありSNSでの発信力のある方を本県に招聘する取り組みについてお尋ねがありました。
観光庁の訪日外国人の消費動向の調査結果によりますと、日本を訪れた外国人観光客の動向として、個人旅行者の割合が高いことや旅行出発前に役立つ旅行情報源としてSNSが上位にあることが挙げられています。
こうしたことも踏まえますと、SNSでの情報発信力を持ついわゆるインフルエンサーを活用した観光情報の発信は、個人旅行者の誘致拡大につながる有効な手段であると考えています。
このため、本年度から台湾、香港、シンガポール、タイの重点市場において、旅行業界などに精通した現地法人と連携することにより、団体旅行者の誘致に加えて個人旅行者を誘致する取り組みも進めています。具体的には、その手法としてインフルエンサーをモニターツアーに招聘し、本県ならではの食や自然体験資源を中心に体感していただき評価をいただくことや、フェイスブックやインスタグラムなどでの情報発信をお願いしています。
今後においても、重点市場におけるこうした取り組みを継続するとともに、来年2月から実施する自然・体験型観光キャンペーンに向けて、自然体験ツアーなどに関心が強いアメリカやオーストラリアを初め、LCCの就航により誘客が期待できる韓国などもターゲットに加え、インフルエンサーを積極的に活用したプロモーション活動を展開していきたいと考えています。
最後に、大学生観光まちづくりコンテストの開催地のステージとしてエントリーすることも含めて、若い知恵や感性を生かす観光地づくりについてお尋ねがありました。
大学生観光まちづくりコンテストは、大学生がチームを組み、開催地での現地調査を通じて作成する魅力的な観光地づくりのプランを競い合うものです。
観光客の多様なニーズやトレンドに合った観光地づくりを推進していくためには、県や市町村、地域の観光関連事業者が連携した取り組みに加えて、若者の知恵や感性を生かす取り組みも必要であると考えています。
このため、県内では既に、大学と市町村との連携協定などに基づき、高知大学や高知県立大学などの学生たちが、県内各地で地域の方々と連携して地域活性化に取り組む活動が行われています。
こうした活動を通じて、例えば大豊町ではゆとりすとパークでのブルーベリーを生かした収穫イベントの開催や、佐川町や津野町では地元の自然や食材を生かした体験プログラムが企画されるなど、観光振興を切り口に新たな経済効果を生み出して地域活性化につなげる取り組みが行われています。
このように、大学生の知恵を生かしたイベントや企画が新たな観光資源の創出につながる事例もありますので、お話にありましたような大学生観光まちづくりコンテストで事業化された実践事例の内容や成果の把握を行った上で、実際のフィールドとなります県内市町村に対して十分に情報提供を行うとともに、エントリーの意向も確認してまいりたいと考えております。
(副知事岩城孝章君登壇)

 
 
◎副知事(岩城孝章君) 空港施設の機能強化に向けた、高知龍馬空港・航空ネットワーク成長戦略検討会議の今後の取り組み内容についてお尋ねがありました。
本年5月に立ち上げたこの検討会議では、既存路線の拡充、国内LCC路線の誘致、国際路線の誘致、空港インフラの整備の4項目を検討の柱として、航空ネットワークの拡充に向けた議論をこれまでに2回行っております。
これまでの議論の中では、国際チャーター便の受け入れに当たっては、国内定期便の運航ダイヤと空港駐機場の関係で受け入れ可能な時間帯が限られていることや、入国審査、検疫、税関の検査スペースが不足していること、またチェックインカウンター業務等を行うグランドハンドリングの要員の確保が難しくなっていることなどの課題が指摘をされました。
また、国内定期便の運航については、空港の利用者が増加傾向にある中で、保安検査場や搭乗待合室の混雑が一部見受けられることや、ラウンジなど利便施設の整備を求める意見もございました。
このような状況を踏まえ、8月8日に開催された第2回の検討会議の場で、委員の皆様の総意として、新ターミナルビルの整備など施設の拡充を検討すべきではないかといった意見をいただいたところでございます。
そうした御意見をいただいたことに加え、その後LCCの2路線の就航が決定したこと、また現在取り組んでいる既存路線の拡充、国際路線の誘致を見据えたとき、県としましても、新ターミナルビルの整備も含めた空港施設の機能強化について、関係機関との調整等も行いながら検討を始める時期に来ているのではないかと受けとめております。

 
 
◆4番(上田貢太郎君) 執行部の皆さん、それぞれ御答弁ありがとうございました。
それでは、御答弁いただいた中から、地震対策について一言述べさせていただきます。
今回の質問では、津波浸水地域から非浸水地域への事業所や宅地の移転について御質問させていただいたんですけれども、東日本大震災や今回の北海道胆振東部地震などの被害の状況や、経営者の皆さん方のさまざまなお話をお聞きしていく中で、発生確率が年々高まる南海トラフ地震を考えた場合、県内企業の事業継続の不安というのは解消されることはないというふうに思います。
商工労働部長から、製造業を中心とした企業のニーズについて御答弁をいただきましたけれども、移転を望む企業や事業所というのは全産業分野において共通する課題であるというふうに思います。
また、まだ把握できていない事業所については、ぜひ関係団体などを通じて早急に把握に努めていただきたいということを要請させていただきます。
また、県では各部局をまたいだ横断的な組織として南海トラフ地震対策推進本部を設置し、地震発生直後から応急期、さらに復旧・復興期の対策について、事前に実施すべき取り組みをまとめた第3期の南海トラフ地震対策行動計画を現在策定しており、今年度中に第4期に向けて行動計画の見直しを行うということを伺っておりますけれども、ぜひ県民の生活を立ち上げる早期の復旧・復興に向けた事前の対策にさらに加速して取り組んでいただくように、この場をおかりいたしまして要請をさせていただきます。
以上で全ての質問とさせていただきます。ありがとうございました。

 
 

 

 


◆3番(上田貢太郎君) おはようございます。自由民主党の上田貢太郎でございます。それでは、議長のお許しをいただきましたので、早速2月議会に引き続き質問に入らせていただきます。知事初め執行部の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

では、まず最初に、コンテンツ産業についてお伺いいたします。
経済産業省が昨年公表した資料、コンテンツ産業の現状と今後の発展の方向性によると、映画やアニメ、テレビ番組、音楽、ゲーム、書籍などの日本のコンテンツ産業の市場規模は合計で12兆円を超える状況にあるとされています。その内訳を申しますと、映画を含む映像関連産業の約4兆3,000億円を初めゲーム関連産業の約1兆7,000億円などとなっております。このように大きく成長してきたコンテンツ産業は、書籍、雑誌など苦戦している部門もあるものの、総じて今後とも成長が見込まれる産業分野ではないかと考えます。成長が見込まれるコンテンツ産業を本県産業の振興にぜひ生かしてもらいたいと考えています。
高知県においては、これまでもコンテンツ産業の振興に取り組まれ、本年4月からは商工労働部において、さらに取り組みを強化するための体制整備も行われたところであります。
そこで、率直にお伺いをいたしますが、県としてこうしたコンテンツ産業を今後どのように振興していくおつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。
また、コンテンツ産業の振興を図っていくためには、その担い手となるエンジニアやクリエーターなどをいかに確保していくかが重要となってくると考えます。その具体的な取り組みについて商工労働部長の御所見をお聞かせください。
次に、映画などを生かした観光振興についてお伺いいたします。
2月議会でも御紹介させていただきました映画サムライせんせいもついに今月26日にクランクインいたしました。そして、その2日前の24日には尾崎知事や浜田議長にも御出席いただき、撮影討ち入りパーティーを開催いたしましたが、主演の市原隼人さんを少しでも見ようと全国各地から約800人の方に御出席いただき、その関心の高さには本当に驚きました。高知ロケは約3週間、関係者がホテルに泊まり、夜は土佐の味めぐりに繰り出し、町中では県民の皆さんがどこで撮影しているのか、フェイスブックやラインなどSNSでも大盛り上がり、土佐の暑い夏が始まります。
2月議会でも申しましたが、長期的展望のもとに映画やドラマの誘致を続けていくことで高知県の魅力を広く発信し積極的にインバウンドを獲得していく姿勢こそ、今県が力を入れなければならないところではないでしょうか。
インバウンドや観光誘致、これはどの自治体も今必死に模索、検討されている課題です。そこから頭一つ抜きんでるためには、あらゆる状況を想定して取り組まなければなりません。フィルムコンテンツの果たす役割や影響力は大きく、高知県にとって非常に大きな観光誘致ツールになり、これを利用することにより大きなリターンが期待できるのではないかと考えます。
そこで、他県の取り組みを御紹介いたしますと、特に映画先進エリア、九州のフィルムコンテンツにかける意気込みといいますか、勢いには驚かされるものがございます。
TIFFCOMでの九州PRブースの営業戦略は尾崎知事も御存じだと思います。このイベントは、東京国際映画祭に併設して行っている国内最大の国際コンテンツ見本市で、2016年は49カ国1,539人のバイヤーが世界中から参加。延べ来場者数約1万8,000人という大きなイベントでありますが、そこに、九州7県が協力する一般社団法人地域企業連合会九州連携機構が、世界各国のコンテンツ制作者へ九州をロケ地とした映像コンテンツを制作、放映、配信していただき、九州への認知、関心を高めインバウンド増を目的にブースを出展しております。ある時間になると、バイヤーの興味を引くために九州の地場産品や地酒を升酒で振る舞うそうで、常連の海外バイヤーらは、日本酒、ジャパニーズサケを目的に九州ブースに集まり、ほかのブースは閑古鳥が鳴いているようです。それが直接的な要因かはわかりませんが、結果、北九州を初めとする九州エリアへの認知、関心が高まり、インバウンドの観光客がついてくるというわけです。
また、フィルムコンテンツの売り込みでは、映画「あらうんど四万十~カールニカーラン~」もここでメキシコのバイヤーとつながって、メキシコの60都市、100スクリーンで公開され、台湾のエバー航空では機内上映も行われました。そして、内閣官房副長官を議長に、映画産業の海外展開に関する検討会議が現在行われておりますが、映画あらうんど四万十が成功例の一つとしてそこで紹介されたそうであります。
土佐の先人坂本龍馬は、時代を読み、行動し、日本を動かしました。彼のすばらしいところは、維新の立役者でありながら新たな発想で動いた商売人であったという点でしょう。
そこで、映画やドラマの誘致を通じた観光振興策に今後どのように取り組んでいくのか、観光振興部長の御所見をお聞かせください。
また、2月議会でも御案内いたしましたが、高知の経済界、映画関係者らが中心となって立ち上げるNPO団体、仮称高知フィルム・オフィスも設立目前です。さらに、クラウドファンディングの活用の勉強も始め、物心両面での継続的な映画、ドラマなどの制作のサポートを目指し、高知県観光コンベンション協会と連携しつつコンテンツビジネスの支援を担っていきたいということで組織づくりの検討を進めております。
活動としては、受け身でなく積極的に外に対してアプローチしていく態勢を整え、企画の立ち上げ、誘致提案、映画祭などのイベントを初め東京や海外などでの映像を中心にした催し物も行っていくようです。そして、外部から高知へ提案される映画、テレビなどの窓口となり、不確定要素の多い映像作品の真偽を判断するフィルターの役目も果たし、本県のためになる健全な映画制作のための組織として運営していくそうであります。知事の目指す「龍馬伝」435万人を超え、そして高知県観光のもう一段の飛躍のためにも、こうした有志の取り組みは非常に期待が持てると思います。
映画祭はマスコミが告知することによって映画祭以外の観光客を誘致することができます。映画あらうんど四万十をきっかけに行われた四万十映画祭は2年お休みしていたようですが、今期の四万十市議会では四万十映画祭の予算化が決まったと聞いております。当然、県もこの映画祭の支援は行うのでしょうが、これからは仮称高知フィルム・オフィスも積極的にかかわることができればと考えているようです。
また、2月議会では、幕末を題材にした映画祭について御提案いたしましたが、来年3月高知市において土佐のおきゃくに合わせ開催することが決定いたしました。全国から幕末を題材にした約20作品を集め、出演者にもお越しいただき、幕末維新博とも連動できる企画となりますので多くの観光客を呼び込むことが期待されます。
そこで、幕末を題材にしたこの映画祭の開催について県としてどのような連携・支援が考えられるのか、観光振興部長の御所見をお聞かせください。

続きまして、高知版CCRCの取り組みについてお伺いいたします。
本年4月28日、平成29年度第1回高知県移住推進協議会が行われ、平成29年度第1・四半期移住促進の主な取り組みが発表されました。そこには、高知家生涯活躍のまち、高知版CCRCの取り組みの推進、また高知市を中心とした2段階移住の取り組みの展開ということが記されています。高知県内の市町村が策定されています、まち・ひと・しごと創生総合戦略には、幾つかの自治体がいわゆるCCRC、生涯活躍のまちの取り組みを位置づけしておられ、高知市もこの生涯活躍のまちの取り組みをまちづくりの方策の一つとして検討するとされています。
また、高知家生涯活躍のまち構想にも、高知市から中山間地域の土佐町へ2段階で移住した場合の収支シミュレーションも示されております。私は、この高知市との間の2段階移住がCCRCの推進の鍵を握るのではないかと考えております。
ただ、ここへ来てこの高知市の生涯活躍のまちの取り組みに対する具体的な動きが、まだ見えてきていないところを懸念しております。昨年度にもお話ししましたが、2段階移住の最初の1段階目の最適地として朝倉の造幣局跡地と合築図書館の西敷地を挙げておりましたが、造幣局跡地は不可能とのことで、残る適地は合築図書館の西敷地ではないかと考えております。この合築図書館の西敷地の活用につきましては、高知市はパブリックアンケートを実施いたしましたが、その中にはCCRCという言葉はなかったようです。最終的には、本年秋にプロポーザルで決定するようです。
しかし一方で、先ほども申し上げましたが、高知家生涯活躍のまち構想、高知県版CCRC構想が策定され、まち・ひと・しごと創生総合戦略に沿った交付金措置を受けた土佐町、嶺北地区は大変活発な動きを見せておられます。土佐町は本山町と連携し、嶺北版CCRC構想の策定やモデル事業として都会のシニア世代の方々を対象に短期の移住体験を行うCCRCモニターツアーを実施するほか、嶺北地域CCRCシンポジウムも開催するなど、土佐町を中心とする嶺北地域は非常に積極的な動きをされておられます。また先日、山本幸三地方創生担当大臣が高知にお見えになったときも嶺北を訪れ、大臣も非常に嶺北地域の活動に感動をされたと聞いておりますし、その後、山本大臣御自身もゴールデンウイークにアメリカのCCRCを視察されております。
そこで、中山間地域においては、特に移住政策の取り組みが不可欠だと思いますが、嶺北版CCRC構想を今後県としてどのように支援していくのか、産業振興推進部長の御所見をお聞かせください。

次に、高知市を中心とした2段階移住の取り組みについてお伺いいたします。高知県に移住を考えている人に、まず都市部の高知市で生活をしてもらい、そこを拠点に自分に合った移住先を見つけてもらう2段階移住の取り組みを高知市も始めたことが先日の報道で取り上げられていました。この取り組みは、田舎暮らしに憧れているが不安が先立ってなかなか踏み込めないという都会の人を新たなターゲットとして掘り起こし、移住者を確保しようとするもので、今後の取り組みの拡大が期待されます。
そこで、高知市を拠点とする2段階移住の取り組みを今後どのように支援していくのか、産業振興推進部長にお伺いいたします。

次に、竹の活用についてお伺いいたします。
近世に日本に移入された外来植物であるモウソウチクは、1950年代ごろまでは木材やタケノコを得るために管理された竹林にて栽培されていました。竹林の周囲は深さ1メートル程度の空堀を掘りめぐらすなどの対策がなされていましたが、輸入品のタケノコが出回ってタケノコ栽培が経済的に成立しなくなり、竹材の需要も減少すると、各地の竹林は管理されなくなっていきました。
元来繁殖力が異常に強い樹種であるモウソウチクは、これによって竹林の周囲に無秩序に進出し、既存の植生を破壊していきました。モウソウチクが進出するとアカマツやクヌギ、コナラなど、かつて里山で優勢であった樹種が置換され生態系が単純化してしまうことや、モウソウチクは土壌保持力が低いため崖崩れが起きやすくなるなど、各種の害が発生することが現在問題視されています。また、他の樹種が侵入しづらい杉、ヒノキなどの人工林にも容易に侵入します。樹高が竹の背丈より低い場合はほぼ全ての杉が枯死します。竹よりもはるかに樹高の高い杉、ヒノキ林でも水吸収の競争に起因する枯死が報告されています。
本県には大きな竹害の報告は少ないようですが、林野庁四国森林管理局の方からお話を伺いますと、本県における竹害の報告が少ないというより、竹害の正確な調査には莫大な費用が伴うため実施されていないのが実情であるようです。
また、竹害においても国の支援策として助成制度はあるもののランニングコストの、特に伐竹、搬出、移送などに関しての継続的な支援制度はなく、現在は3年の支援が限度であるとのことでございます。御承知の方もいらっしゃると思いますが、3年間の期限つき助成制度は、南国市が利用し一定の成果をおさめたようですが、今後の補助制度は未定と聞いております。
そうした制度下での竹害対策として、竹の燃料化をさまざまな研究グループが試みましたが、竹は塩素とカリウムを多く含み、そのまま燃焼するとボイラーを傷めたりダイオキシンを発生させたりするため、これまで発電燃料には不向きとされてきました。
そんな中、本年3月9日、日立製作所が竹を木質バイオマス発電に利用できる改質技術を開発したと発表しました。早速、同社の四国地域の担当者とお会いしお話を伺いましたが、伐竹と集材及び竹のみを使ったバイオマス発電においては、さまざまな困難もあることを知りました。一般的な竹収集では竹を定尺に玉切りし、枝払いして収集していますが、大半の作業が人手によるもので原料コストを引き上げています。日立では、重機による竹の伐採及び伐採直後に竹専用細断機で細断し、気流搬送によりバキュームカーで収集することが可能であることを確認し、これにより従来の伐採収集に比べ輸送効率が3倍から4倍に向上することから、3分の1から5分の1程度の費用低減が可能であると推定しており、原料コスト削減に寄与できるそうです。
また、竹の改質、カリウムと塩素の溶出施設に関しては、25メーター掛ける25メータープールがあれば可能であり、溶出液は高質の液体肥料としての利用、販売も可能であり、そうした施設やシステムを検討するのであれば、日立が指導し品質保証も行いますとのお話をいただきました。
先日、委員会で視察に伺いましたが、木質バイオマス発電所でも燃料となる木材の不足が見られると聞いており、杉、ヒノキにかわる新たな素材として、私は竹に注目してはと御提案申し上げます。
とはいえ、いきなり竹を全域で大々的に集材するのではなく、例えばモデル地域を選定し、国、県、民間企業の連携で竹を用いた高知発の新たなエネルギー事業システムの構築を目指してはいかがかと考えますが、林業振興・環境部長の御所見をお聞かせください。

続きまして、木造住宅の耐震性に関しまして御質問いたします。何が起こるか想像もつかない、これが地震災害です。さきの熊本地震で私どもは大きな教訓を得ることができました。平成7年の阪神・淡路大震災を契機に木造建築物の耐震基準が明確化され、最新の耐震基準で建てられた住宅は震度6強から7程度の揺れでも倒壊、崩壊しないと言われていました。しかし、熊本地震では法で定められた耐震基準を満たしていても決して安心できないということが証明されたのです。一例を挙げますと、発注者の要望により開放感のある空間をということで1階のリビングを20畳と広くとったため、壁の直下率、すなわち1階と2階の壁がつながっている率が低く、2階の負荷により倒壊した家屋がありました。このように発注者の要望を受け入れることで、結果的に倒壊してしまいましたが、この建物は違法建築ではありませんでした。しかし、床ばりと胴差しを大きくし、間柱や筋交いをふやすなどして2階からの加重を分散させれば、倒壊を免れた可能性も否めません。
益城町では、最新の耐震基準で建てられた319棟のうち7棟が倒壊、崩壊しました。発注者の意向もありますが、今後安心して生活できる建物を提供しなければならないという立場から、新たに建築する住宅については設計者や建築業者が発注者に対して十分な説明を行うことが重要ではないでしょうか。
県民の生命、財産を守るための木造住宅の耐震性の確保に係る県の取り組みについて土木部長の御所見をお聞かせください。

次に、鉄筋コンクリート建築物に関しまして御質問いたします。熊本地震では、マンションなどの知られざるリスクも浮かび上がってきました。昭和27年から、地震地域係数という考え方により、建築基準法によって求められる耐震性が地域によって異なることとなりました。この係数は過去の地震の記録の研究に基づき定められたものであります。地震地域係数が熊本では0.8または0.9ですが、1.0と比べて耐震性が1割から2割低い基準となります。
関東大震災で被害を受けた首都圏や東南海地震で被害を受けた東海地域は1.0とされていますが、国の定めた地震地域係数は、熊本が0.8または0.9、そして南海トラフ地震が近い将来発生するとされる高知も0.9となっています。0.8は福岡、佐賀、長崎、鹿児島、山口など、そして沖縄の0.7などがあります。四国内では、徳島は美馬郡と三好郡を除くほぼ全域が1.0、香川は多くの市郡で、愛媛は全域0.9となっております。
今、地震地域係数が低いところでも大地震が起こっています。2004年の新潟県中越地震、2007年の新潟県中越沖地震と能登半島沖地震、2000年の鳥取県西部地震、2001年の芸予地震、日本列島が地震の活動期に入る中、今後も大地震が起こるおそれがあり、新しい知見に基づいて地震地域係数を見直す必要があるのではないでしょうか。
福岡市では、2005年3月の福岡県西方沖地震、マグニチュード7の地震が発生したことを契機に独自の条例を制定し、地震地域係数を0.8から1.0に引き上げました。これにより鉄筋の本数やコンクリート、そのほかの部材が多くなり、コストが上がることになると思いますが、建築に詳しい人物に話を聞くと、建築コストの多くは意匠部分であり、地震地域係数が0.1引き上げられても建物全体のコストでは大きな影響は生じないとも聞いております。行政や建築関係者は安心して生活できる建物を提供しなければならないと考えますし、安全とコストは比較して語れないと思います。
南海トラフ地震の発生確率が高まる高知県において、地震地域係数が0.9のままでいいのでしょうか、土木部長の御所見をお聞かせください。

最後に、平成25年9月定例会予算委員会で、坂本茂雄議員も質問されました引き家に関する質問をいたします。このときは、後継者育成に関し知事も必要性を感じておられるとの答弁でしたが、改めて質問をさせていただきます。
2016年4月14日から16日にかけ、震度6弱から震度7の地震が熊本県で発生しました。阿蘇山の火山灰土が堆積して広がるこの地方では、地盤の軟弱さから多くの建物が倒壊し、あるいは建物沈下が多数発生しました。
現地では、職人の不足やにわか業者の粗悪な仕事などから、被災住民の不安も相まって建物復興が遅々として進まなかったと聞いております。現地の情報によりますと、建物復旧のおくれにはもう一つ理由があり、悪質なリフォーム業者の流入を防ぐため、地元熊本での資材調達を制限する動きもあり、福岡などの業者は福岡で資材を調達し自社で輸送しての工事となりますから、輸送費も上乗せされてコストアップにつながったとも聞いております。また、建物沈下修正にあっては、にわか業者の安価な価格提示が避難所に広がり、被災者の間で価格のみが話題になっていたようですが、東日本大震災で多くの建物が液状化による沈下を起こした千葉県浦安市では、にわか業者の安価な施工を受け入れた建物に既に二次被害が起き始めたようであります。
こうしたことを踏まえて、あすは我が身の本県でも、この建物沈下修正の問題を真剣に検討する時期に来ていると私は考えております。
まず、建物沈下修正に関しまして、引き家を家業とする岡本直也さんという棟梁がいます。2011年3月に発生した東日本大震災では引き家の技術が再び注目され、高知市の土佐派の曳家岡本は、浦安市の当時の松崎秀樹市長より正式に浦安市の対策本部に招聘されました。土佐派の引き家とは、昭和南海大地震や伊勢湾台風及び昭和40年代の浸水被害が多かったころ、家屋の修復技術が必要とされ、高知県独自で進化した技術であります。当時は、必要とされる技術ゆえ、精査され独自の発展を遂げました。他県の引き家がコストを下げるために工具を大型化、機械化して、それを扱うために重機を取り入れて重量とび職のように変化していく中、船大工、宮大工の流れにある引き家大工の伝統を伝えているのが高知県の引き家です。岡本さんの活躍は、昨年4月に高知新聞で全7回にわたり連載されましたし、その2カ月後には東京新聞にも転載されて、一躍、高知県の職人が災害復興に寄与したことを全国に知らしめました。
引き家職人は、家を引くだけでなく回転させる技術を持つわけですので、液状化や地震で沈下した住宅の修復などを行うエキスパートであります。現在はほかにも耐圧版工法、アンダーピニング工法、薬液注入工法など沈下修正を行う工法が開発されていますが、県内にはこうした業者がほとんどおらず、出張料などから高額になることが予想されます。対して、引き家による修正は安価であること、そして社寺や古民家など伝統構法の建築物にも対応できることから、沈下修正の災害復旧には欠かせない技術であります。
昭和50年代には、高知市近郊だけでも13業者以上存在した土佐派の引き家は、現在、高知市、香南市野市町、いの町にそれぞれ1業者のみとなっております。このうちいの町の引き家は、80歳代半ばと高齢であり、後継者もいないので実際には引き家業務を休止しております。残る2業者も、全国を回ることで経営を存続させていますが、それに加えて受注が安定しないため新入社員の雇用ができていない状況であります。平成25年9月定例会予算委員会で、坂本茂雄議員もこの問題に触れられました。知事も後継者育成についての重要性を認める答弁をされておりましたが、当時は2名いた弟子も今は1名のみであります。
引き家が衰退した理由には、生活スタイルの変化などがありますが、加えて、例えば本県においては、昭和50年代後半に雨水の排水対策が充実してきたことで、主に高知市福井町などで行われていたかさ上げ工事が減ってきたことや、道路拡幅事業などに伴う移転補償の際、土地や住宅の構造上の制約により起業者が引き家工法を認定することが少なくなったことなどの理由が考えられます。
現在の引き家への依頼は、どうしても残しておきたい思い出の家を引き家してほしい、地盤沈下で傾いた家をジャッキアップして水平に直してほしい、主にこの2つとなっておりますが、曳家岡本に来る相談には、余りにも高額な見積もりであったり、逆に安価過ぎる見積もりに、施主が不安を覚えたなどもあるようであります。
現状、高知県内のみでは仕事が継続できないため、2社とも全国巡業をしております。仕事が切れる期間もありますので、高知市の曳家岡本は、弟子と派遣会社作業員によって仕事を行っておりました。昨年から助っ人に入っていた派遣や下請をなりわいとする高知市の親方が引き家の仕事にほれ込み、新たな局面に向かっていますが、この親方も拠点を愛知県に置くようで、残念ながら高知の引き家職人の人材確保にはつながりません。さらに、香南市野市町のひきや工房ころんぶすは、親方の橋本さん一人と派遣会社作業員という形態です。これでは次世代の高知の引き家職人は育ちません。既に徳島県や香川県では引き家ゼロとなっております。
そこで、土木部長にお尋ねいたします。
震災からの復興に必要となる引き家技術が途絶えないようにするためには、平時から業として成り立つ程度の業務があることが必要であると考えます。引き家や沈下修正に対して補助金を出すことは難しいかもしれませんが、引き家技術を存続させるために、一般の方々への周知など行政として何か後押しできないものでしょうか、土木部長に御所見をお聞かせいただきまして、以上で第1問とさせていただきます。
(知事尾崎正直君登壇)

 
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◎知事(尾崎正直君) 上田議員の御質問にお答えをいたします。
コンテンツ産業の振興についてお尋ねがございました。
コンテンツ産業は、今後も成長が見込まれる産業分野であるとともに、インターネット環境があれば事業が可能であるなど立地が地理的条件に左右されないことから、本県における発展が期待できる産業であります。また、若者の就職希望が多く、その雇用の受け皿として期待できる産業でもあります。
このため、県では、これまでもコンテンツ関連企業の誘致や企業間連携の促進による取引拡大の推進など、コンテンツ産業の振興に産業振興計画のもと取り組んでまいりました。その結果、これまでに首都圏のゲーム関連の2つの企業による合弁会社や人工知能の研究開発企業の子会社など9社の立地が実現をし、平成29年3月末時点で120人を超える新規雇用が生まれるなどの成果が出てきております。
こうした動きをより確かなものとするため、コンテンツ産業の振興については、本年4月から、製造業や事務系職場などの企業立地の経験とノウハウがあり、人材確保の施策も一体的に推進することができる商工労働部において取り組むことといたしました。こうした体制の整備やこれまでの取り組みが相まって、今年度は、本県への立地の決定や立地に向けた具体的な動きにつながっている企業が増加しているところです。
今後は、具体的に立地に向けた動きのある企業の早期立地をまずは目指してまいります。また、これまでに設けておりますコンテンツ企業に特化した立地助成制度による支援に加えて、今年度は、首都圏の人材を確保するためのネットワークの構築やアプリケーション開発の基礎的技術を習得できる人材育成講座の開催など、人材の確保・育成の取り組みを大幅に充実強化しております。
このような、本県ならではのきめの細やかな支援策について積極的な企業訪問などを通じて周知をし、新たな企業の本県への立地につなげるとともに企業の協業などによる起業や新事業展開を促進することで若者の雇用の創出にもつなげ、拡大再生産の好循環の実現を目指してまいりたいと考えております。
あわせまして、テレビドラマや映画、アニメ、漫画などの発信力のあるコンテンツとの連携による産業振興にも意を用いてまいりたいと考えております。
これまでも、例えば、大河ドラマ龍馬伝が放送された際には、それに合わせた博覧会の開催といった連携、またテレビドラマ遅咲きのヒマワリと移住のプロモーションの連携、全国漫画家大会議における漫画家の先生との連携、歴史民俗資料館における漫画サムライせんせいとのコラボレーションによる企画展の開催なども行ってきたところであります。さらに、今後も、幕末の歴史に関連した魅力的なコンテンツが続々と登場するものと承知をしています。テレビアニメでは、坂本龍馬が佩刀していた陸奥守吉行が擬人化されメーンキャストとなっている刀剣乱舞の放送が開始されると聞いておりますし、先ごろ撮影が開始されたサムライせんせいなどの映画にも大いに期待が高まっております。「志国高知 幕末維新博」を進めていく中で、まんが甲子園などの機会も生かして、こうした作品とのコラボレーションを行えないか、相手のあることではありますけれども、今後、検討、調整を行わせていただければと考えているところであります。
今後も、あらゆる方向にアンテナを広げて、産業振興、文化の振興につながるよう取り組んでまいりたいと考えております。さらに、こうしたコンテンツとのより継続的なかかわりをつくり出し、産業振興に生かす施策についても検討を深めてまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
(商工労働部長中澤一眞君登壇)

 
 
◎商工労働部長(中澤一眞君) コンテンツ産業の振興の担い手であるエンジニアやクリエーターの確保についてお尋ねがありました。
本県に立地をしましたコンテンツ関連企業による新規雇用は累計で120名を超えており、今後の採用意欲も高い状況にあります。今後とも企業立地を進め、コンテンツ産業の振興を図っていくためには、人材をいかに確保できるかが重要な鍵となりますことから、今年度は、人材確保及び育成のための施策を2つの点で充実強化しております。
まず1つ目は、首都圏の人材や企業とのネットワークの構築による県外からの人材確保の取り組みです。首都圏に在住をしている技術者やクリエーター、さらに企業とのネットワークを構築した上で、定期的な交流会を通じて県内の企業との交流を深めることにより、人材のUターン、Iターンによる就職につなげてまいります。また、この取り組みを通じて企業同士の事業連携や本県への企業立地などにもつなげてまいりたいと考えております。
2つ目は、現在コンテンツ産業で最も需要が多いアプリケーション開発人材の育成に向けて、土佐まるごとビジネスアカデミーにおけるアプリ開発人材育成講座を質と量の両面で拡充したことです。この講座の基礎技術編では、オンライン学習サービス、いわゆるe-ラーニングを活用して基礎的技術の習得を支援してまいります。これに続く応用編においては、実際にスマートフォンやパソコン上で動くアプリケーションをグループで開発することにより、受講者の実践的な技術力の向上につなげてまいりたいと考えております。
このように県外からの人材の確保と県内における人材の育成を両輪とした取り組みを推進することにより、さらなるコンテンツ産業の振興につなげてまいります。
(観光振興部長伊藤博明君登壇)

 
 

◎観光振興部長(伊藤博明君) まず、映画やドラマの誘致を通じた観光振興策への取り組みについてのお尋ねがありました。
映画やドラマの誘致につきましては、大きく3つの効果があると考えております。1点目は、多数の方の鑑賞につながることによるPR効果であり、2点目は撮影場所が後のロケ地めぐりなどの観光誘客につながること、3点目は大規模な撮影となる場合は宿泊などを中心にさまざまな経済効果がもたらされることです。
そのため、映画やドラマの誘致に向けましては、主に高知県観光コンベンション協会内の高知フィルムコミッションをワンストップ窓口としまして、撮影場所に関する情報提供、関係団体や地元の方々との調整、宿泊施設や食事場所などの情報提供、エキストラやボランティアスタッフの募集や手配、撮影場所探しなどの現場立ち会いといったさまざまな支援を行っているところです。
また、誘致が成功した場合にその映画やドラマがどれだけ本県の観光プロモーションにつながるかにつきましては、興行成績や視聴率、作品の内容、放映や放送されるエリア、本県の露出度合いなどによりさまざまであり、特に映画は他のコンテンツに比べ、事前にプロモーション効果の想定が難しいと考えております。
このため、個々の作品との連携につきましては、制作者側と個別に相談させていただきながら、本県観光への貢献度合いを見きわめていくことになりますが、当初から一定効果が見込まれるような、例えば原作がベストセラーになっているものや、映画やドラマとしてヒットし、その後シリーズ化されているものなどにつきましては、プロモーションなどにおいて積極的に連携していきやすいと考えております。プロモーション効果を事前に見定めることが難しい面はありますが、大変大きな効果をもたらせてくれる可能性もありますので、今後もチャンスを逃さず前向きに取り組んでまいりたいと考えております。
次に、幕末を題材にした映画祭の開催への連携・支援についてお尋ねがありました。
幕末を題材にしました映画祭の開催につきましては、「志国高知 幕末維新博」の開催時期にタイムリーな企画であり、また高知市の中心商店街や中央公園などを会場とした高知の春の一大イベント土佐のおきゃくに合わせて開催されますことは、県外観光客の呼び水として期待が持てると考えております。
現在、「志国高知 幕末維新博」におきましては、多くの誘客を図るため、大きく2つの枠組みでプロモーションに取り組んでおり、1つは全国的な盛り上がりをつくり出すための話題化であり、もう一つは博覧会の開催を広く周知することとなっております。
そうしたことから、博覧会開催期間におきましては、幕末を題材として上映される映画祭の企画内容などについて、主催者とも相談させていただき、県外からの多くの誘客につなげるプロモーションなどで連携・支援していくことが考えられます。
また、博覧会に関連して連携・支援する地域のイベント等については、博覧会以降も自立的に継続開催していただくことを基本としております。このためこの映画祭の開催においても、博覧会開催期間だけ、あるいは単年で終わるものではなく、ぜひともビジネスとして確立させて継続して誘客につながるものにしていただきたいと思いますし、継続開催されていくことになれば、その効果も踏まえて、よりよい連携が図れるものと考えております。
来年予定されています映画祭の開催は、県といたしましても大いに期待をしておりますし、応援させていただきたいと考えております。
(産業振興推進部長松尾晋次君登壇)

 
 
◎産業振興推進部長(松尾晋次君) まず、嶺北版CCRC構想の今後の支援についてお尋ねがありました。
県では、昨年高知家生涯活躍のまち構想を策定し、この構想の実現を目指すモデルとなる市町村に対して、それぞれの地域特性を生かした魅力ある生涯活躍のまち、いわゆるCCRCの構想づくりに向けた人的・財政的支援を積極的に行ってまいりました。
この結果、昨年度末には、本山町と土佐町とが連携して嶺北版生涯活躍のまち構想が策定をされております。この構想は、両町の高齢者福祉施設や医療機関、あったかふれあいセンターなど既存施設を活用しながら、豊かな自然など嶺北ならではの強みを生かし、都市部のアクティブシニア層などが安心して移住できる環境をつくり出すとともに、移住者に限らず、嶺北で暮らす全ての方々が生涯にわたって健康的に活躍できる魅力的なまちづくりを目指すものです。
これを受けて、土佐町では、今年度国の地方創生推進交付金を活用し、構想の具体化に向けた検討会を立ち上げる予定となっております。県としましては、まずはこの検討会に参画し、地域の方々とともに、事業計画や運営に当たっての課題と対応策などについて検討を進め、取り組みの熟度を上げていきたいと考えております。
第3期産業振興計画の目標である移住者1,000組の達成に向けましては、これまでの移住者の1割程度と決して多くはなかったアクティブシニア層の移住者を伸ばしていくことや、受け皿となります住宅の確保などが必要ですので、中山間地域でのモデルとなるこうした取り組みの実現に向けて、今後とも必要な支援を行ってまいります。
次に、高知市を拠点とする2段階移住の取り組みに対する支援についてお尋ねがありました。
2段階移住は、田舎暮らしには憧れるが踏み切れないといった方々をターゲットに、一旦都市機能の整った高知市に移住または滞在しながら県内市町村をめぐり情報収集した上で、自分に合った移住先を見つけていただこうとするものです。この取り組みは、こうした方々の移住に向けた行動への後押しになりますので、移住者の増加や中山間地域への新たな人の流れをつくることにもつながるものと考えております。
現在、高知市と他の33市町村による連携中枢都市圏の形成に向け、連携事業の一つとしてこの2段階移住の取り組みが検討されておりますが、1段階目の移住先となる高知市からは、お試し滞在施設をさらにふやすことが第一の課題であると伺っているところです。このため県としましては、まず滞在施設のさらなる増加に向け、県職員住宅の空き室情報を提供するとともに、民間の不動産団体に対しまして、短期の賃貸が可能な物件の確保についての協力要請などを行っているところです。
今後は、2段階目の移住候補地となります市町村を紹介する相談会やツアーの開催なども必要だと考えておりますので、高知市や他の市町村の意向も伺いながら、必要な支援を検討してまいりたいと考えております。
(林業振興・環境部長田所実君登壇)

 
 
◎林業振興・環境部長(田所実君) 竹を用いた高知発の新たなエネルギー事業システムの構築についてお尋ねがありました。
竹は、タケノコを食材とすることはもとより、身近な資材として生活に利用されてきましたが、安価な輸入品や代替品の普及により利用が減少し、竹林の適切な管理が行き届かなくなっています。このため一部の地域では、竹が隣接する人工林へ侵入してきたり、林内が暗くなることにより他の植物の生育を阻害し生物多様性の低下を招いていることなどが問題となっています。
議員のお話にありました竹を木質バイオマス発電に利用できる技術の開発により、発電用燃料として竹の新たな利用が進むことは、竹林の適正な管理とともに、竹を生かした産業振興にもつながるものと考えております。
今後、竹を活用した発電用燃料の製造を事業化するに当たっては、その採算性を確保することが必要でありますことから、分散した竹林から内部が空洞でかさばる竹を効率的に、そしてまとまった量を安定的に収集することが大きな課題であると考えております。このため、高知市内で竹を活用した集成材の生産に取り組んでいる事例などから、伐採、搬出に係るコストや竹材の収集可能量などについて情報収集等に取り組みますとともに、国や民間企業の協力もいただきながら、原料の調達や施設の整備を含め竹を発電用燃料として製造する事業の採算性について試算するなど、新たなエネルギーシステムの事業化の可能性を追求していきたいと考えております。
(土木部長福田敬大君登壇)

 
 
◎土木部長(福田敬大君) まず、災害対策に関しまして、県民の生命、財産を守るため、新たに建築されている木造住宅の耐震性の確保に係る県の取り組みについてのお尋ねがございました。
昨年4月に発生いたしました熊本地震では、木造建築物297棟が倒壊または崩壊する被害が発生し、その中に、平成12年以降の耐震基準で建築されたものが7棟含まれておりました。
国の被害原因分析調査では、この7棟のうち3棟は柱やはりなどの接合部の強度が不十分であったと、また1棟は敷地の崩壊が原因とされ、残り3棟につきましては明確な被害要因が確認できなかったと報告されております。一方で、長期優良住宅など建築基準法に定められた耐震基準に比べてより高い耐震性能を確保していた木造住宅については、被害の程度が小さかったことも報告をされております。
県としては、建築関係団体と連携して技術力などの向上を図る講習会を開催し、耐震性能の高い木造住宅の設計施工ができる事業者の育成に取り組んでいるところです。加えて、消費者の皆様には、耐震性能に関する正確な情報や、長期優良住宅の認定などを受ければ減税やローン金利の優遇を受けられるといったメリットについても周知してまいります。これらの取り組みにより、新たに建築される住宅が、より耐震性能の高いものとなるよう努めてまいります。
次に、鉄筋コンクリート建築物に関する地震地域係数が0.9のままでよいのかとのお尋ねがございました。
地震地域係数は、過去の地震の記録に基づく被害の程度や地震活動の状況等に応じて、1.0から0.7までの数値として地域ごとに建築基準法で規定されており、この数値が大きいほど耐震性能が高くなります。
お話のありました福岡市における地震地域係数の割り増しについては、断層帯が確認されている一部の市街地に限定して、高さが20メートルを超える建築物を新築する場合に、地震地域係数を0.8から1.0に割り増しするという努力義務が条例化されたものでございます。
議員が御指摘のとおり、地震地域係数という考え方は昭和27年に定められたものですが、昭和56年の耐震基準の改正時に全国的な見直しを行っております。昨年発生した熊本地震における国の被災状況の調査結果によりますと、現在の耐震基準で設計された鉄筋コンクリート建築物の倒壊は確認されておらず、地震地域係数が建物の倒壊に影響を与えたものではないとの報告がなされております。
このような状況の中で、現時点では国が地震地域係数の見直しを検討しているとは聞いておりませんが、非常に重要な事項でございますので、国の見解について確認し、その取り扱いについて研究してまいります。
なお、現在県が整備する公共施設につきましては、防災拠点として活用されることなども考慮し、地震地域係数を1.0に引き上げることにより、より高い耐震性の確保に努めております。
最後に、引き家技術を存続させるために、一般の方々への周知など行政として何か後押しができないかとのお尋ねがございました。
東北地方太平洋沖地震や熊本地震では、地盤の液状化によって建築物が沈下または傾斜する被害が発生をしております。南海トラフ地震が発生した際も、液状化しやすい軟弱な地盤ではこういった被害の発生が予想されます。
建築物の沈下や傾きは、地震による地盤の液状化だけでなく、建築物の重みによって地盤が圧縮されることなどによっても発生をいたします。この沈下や傾きを修正するのに有効な技術の一つが、引き家技術であると認識をしております。
沈下や傾斜した建築物の修正に対して補助金を交付することは困難ですが、耐震改修工事とあわせて沈下や傾斜を修正する場合は、それらの費用も含めて、住宅金融支援機構が扱っている低金利の融資を利用することができます。
現在、さまざまな地震対策の入り口である住宅の耐震化を強力に進めているところであり、その取り組みの中でこうしたインセンティブがあるという情報も提供し、引き家技術の周知や耐震改修とあわせた沈下、傾きの修正の推奨に努めてまいります。

 
 
◆3番(上田貢太郎君) 知事初め執行部の皆様方には、それぞれ御丁寧な答弁ありがとうございました。
2問目は、質問というより映画に関する御報告とお願いでございます。御紹介させていただきました映画サムライせんせいは、11月18日から地元高知で先行上映が行われますが、その後明治維新で連合を組んだ薩長土肥、鹿児島、山口、佐賀での上映が決定しております。さらにその後は、この連合軍が江戸に、そして函館まで攻め上った道を北上し、戊申上映と題して、鳥羽伏見、江戸、会津、五稜郭、つまり関西、中部、関東、東北、北海道まで上映が続き、王政復古を経て明治政府を樹立した道のりをたどります。こうした仕掛けは日本初で、既に上映する劇場とも商談に入っております。まさに、幕末維新上映にしようとプロデューサーは考えているようでございます。
また、御存じの方もいらっしゃると思いますが、ことしのカンヌのジャパンブースに、映画サムライせんせいの英語バージョンのポスターが張り出されておりまして、既に各国のバイヤーの目に触れておりますから、完成後は世界のバイヤーからのオファーも大いに期待できると思います。
撮影現場は、おかげさまで順調で、主演の市原隼人さんも絶好調での撮影のようでございます。1問目でも申しましたけれども、土佐の先人坂本龍馬は、時代を読み、行動し、日本を動かしました。彼のすばらしいところは、維新の立役者でありながら新たな発想で動いた商売人であったという点だと思います。桂浜に立つ龍馬像もそうですが、彼は幕臣の勝海舟に丸い地球儀を見せられ、その中のちっぽけな日本を知りました。そして、浦賀にあらわれた黒船を見て以来、彼は常に海の向こうを意識していました。それから150年たった今の高知に、龍馬の友達武市半平太がタイムスリップして、サムライせんせいという映画を撮影しています。
映画サムライせんせいのクランクイン以来、私のもとには、市原隼人はきょうはどこで撮影しているの、きょうは誰が高知に来るのなど、電話やメールがひっきりなしでございまして、これまでにも数々の映画が高知で撮影されたと思うんですが、高知がこれほど盛り上がった映画ロケは記憶にありません。
この映画にかかわるたくさんの仲間も、既に向いているのは海の向こうです。さらに、北米各地で開催される映画祭にも出品を計画しておりますから、サムライせんせいがカンヌに行くことができたら、ぜひ尾崎知事にも市原隼人さんとともにレッドカーペットを歩いていただければと思います。そして、土佐の地酒を、海、山の幸を世界に持っていきましょう。国も大いに注目し始めたコンテンツビジネスです。そして、映画サムライせんせいは、本県におけるユニオン号です。尾崎知事にも執行部の皆さんにも、この平成のユニオン号を使って世界に土佐の魅力をアピールしてください。尾崎知事、どうかよろしくお願いいたします。
知事へのお願いも無事済ませましたので、本会議での私の全ての質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手)

 
 
 

 


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